コンセプト
当院ではお子さんが安心して治療が受けられるように、小児の成長発達に応じて適切な治療と、その後の口腔管理を、定期的にフォローアップすることで、長期間に渡って歯や歯茎の健康や咬み合わせなどのお口の健康管理ができるよう心掛けております。
お子さんが治療を受ける前に
歯を治療することをおおげさな事にはしないで下さい。お子さんには普段通りの感じで「歯をなおしに行くんだよ」というような簡単な知らせにして下さい。
「先生は痛くしないからね」などとは言わないで下さい。できる限り痛みないように心掛けてはいますが、歯科治療の多くはやはり不快なものですから率直にそのことをお話して下さい。
お子さんの前で、大人の方が治療に関して痛かった体験を話すことはお避け下さい。
4歳以上のお子さんは原則として、お一人で治療を受けて頂いてます。(ただし必要があれば同席して頂いてます)
お母様お父様がそばについているとどうしても甘えてしまい、歯科医師およびスタッフがお子さんとの信頼関係が築けなくなってしまいます。
そこで、お母様、お父様には、少し心配だと思いますが我慢して頂いて、お子さんの自主性に任せて治療を進めさせて頂くようにお願いしています。4歳のお子さんが先生と受け答えをして治療できるか心配な方もいらっしゃると思いますが、一般的に
- 2歳まで : 親子一緒の治療が良い
- 3~4歳 : お子様の行動を十分観察して母子分離治療を進める。(必要があれば同席して頂く)
- 5~6歳 : 同席は不要
と言われています。
小さなお子さんも「一人の患者さん」としてきちんとした治療をしたいと思っています。
一人で治療ができたという自信は、お子さんの成長において必ず財産になると思います。
治療が終わった際には、どうぞたくさんほめてあげて下さい。ご両親の心からの言葉が一番だと思います。
歯を削る機械
お子さまが歯医者を嫌がる理由
お子さまが歯医者を嫌がる理由として、治療のときの
- キーンという特有の音
- 熱くなったハンドピース
- 歯を削るときの強い振動
などが印象に残り、結果として歯医者が嫌いになるのではないでしょうか。
道具の説明をして怖さを取り除きます
「歯科医院は痛そうだし、怖いところ」と知らず知らずのうちに感じているお子様は多いと思います。
お子様の歯科治療においてこの感情は大きな障害となります。
当院では、お子様の不安・恐怖を少しでも取り除くために、すべての器具をお子様に説明し、実際に触ったりしていただいております。
使用する器具に触れることで、自然と歯科医院の雰囲気に慣れ、「痛くないし、怖くない」と感じていただき、治療を受けられるように努力しております。
歯を削る道具の比較
名称 (略称・通称) |
エアータービン (タービン) |
コントラアングル (5倍速コントラ) |
スプーン エキスカベーター (エキスカ) |
動力 | 圧搾空気 (すぐに止まらない) |
電気モーター | 手動 |
削る力 | 強い | 非常に強い | 弱い |
回転数 | 非常に早い | タービンより遅い | 回転しない |
動作音 | 大きい (不快なキーン音) |
静か | ない |
切削時間 | 短い | 短い | 時間がかかる |
写真 |
スプーンエキスカベーターの構造
- 大型の耳かきのような外観
- 先端部分に刃がついており、刃の部分で感染歯質を削る(エナメル質は削れない)
- 使っていると刃が鈍るので、定期的に研磨が必要
- 手で感染歯質を削る道具です。
- モーターや圧縮空気で動作するものではないため、音も熱もありません。
- 歯が比較的柔らかい小児の歯科治療に適しています。
- 音や振動が小さく、麻酔の必要性も低くなるため、小児に恐怖心を与えにくい。
- 小児が治療を嫌がる可能性が低いため、親御さんへのイメージが良くなる。
- タービンなどに比べ削る力が弱く、手に伝わる感触が術者にフィードバックされる、細かい操作ができるため、健全歯質を削るリスクが低く、MI(最初侵襲治療)が実現できる。
スプーンエキスカベーターはMI(最小侵襲)
スプーンエキスカベーターと、う蝕検知液
スプーンエキスカベーターで感染歯質を除去するときは、う蝕検知液を用いてう蝕部分を確認し、感染歯質を取り残さないことが重要。
グラスアイオノマーセメントによる修復
- だ液の影響を受けにくく、防湿が困難な小児に適する
- 小児の歯髄に影響が少ない
- フッ素徐放量が高い
フッ素
むし歯予防で大切なのはフッ素を上手に使うことです。
歯の質を強くし、歯の再石灰化を促進し、むし歯菌を抑制します。
歯の生え方に合わせて使用すると効果的です。
歯科医院で塗布するフッ素とご家庭で使用していただくフッ素は、フッ素濃度が大きく異なります。
- 歯科医院での
フッ素塗布 - 高濃度フッ素 約9000ppm
- 歯の質を強くします。3-4ヶ月の1度の塗布で効果があります
- フッ素入り
歯磨き粉 - 低濃度フッ素 500-1500ppm
- 再石灰化を促進し、酸の産生を抑制します
- フッ素洗口法
- 低濃度フッ素 250-450ppm
- 再石灰化を促進し、酸の産生を抑制します
より効果的なフッ素の恩恵を受けるためにも定期的に歯科医や歯科衛生士の指導を受けることをお勧めします。
シーラント
歯の溝はむし歯になりやすい
生えたての歯は柔らかく、むし歯に抵抗力がなく非常に弱いものです。
歯の溝には、歯ブラシでは届かないほど細かい割れ目があり、そこからむし歯になることが非常に多くみられます。
そこで予防的に、溝につめ物をすることで、生えて間もない歯を守るのがシーラントです。
主に生えて間もない6歳臼歯や乳歯の奥歯に行います
つめ物は、歯と同じ色のものを使います。
つめ物といっても、溝に一層流すだけなので全く目立ちません。
子供の歯をむし歯から守る手段としてシーラントは非常に有効な予防法です。
シーラント治療の流れ
- 歯を専用のブラシできれいにします
- 超音波と水が出る機械で洗浄します
- シーラント材で、歯の溝をうめます
- 光をあて、シーラント材を固めます
- 咬み合わせのチェックをします
むし歯の治療
早めの治療が大切です
乳歯はむし歯になりやすい
乳歯は永久歯に比べて歯質が弱いためむし歯になりやすく、また、一度むし歯になると早く進行してしまい、厚さも永久歯の2分の1程度のため、比較的早くむし歯が神経まで進んでしまいます。
乳歯のむし歯は永久歯にも悪影響を与えます
『乳歯はどうせ抜けて永久歯に生え変わるから治療をしなくてもいい』と勘違いして、乳歯のむし歯をそのまま放置しておくと、永久歯に悪影響を与えます。
- 乳歯にむし歯があると口の中のむし歯菌も増えています。その悪い環境で新しく生えてくる永久歯もむし歯になりやすくなってしまいます。
- 永久歯の質や形が悪くなることがある
- 永久歯の歯並びが悪くなる可能性がある
- 痛い歯では咬まないようにして食事していると悪習癖が生じ、顔や顎、口の成長のバランスが悪くなる可能性がある
メインテナンス
子どもの頃の生活習慣が、その後の人生の健康を大きく左右します。
自分の健康をご自身で管理できるよう、楽しく身につけることが理想です。むし歯だけでなく、歯茎や咬み合わせ、そして何よりお口全体のバランス等、発育途中である顔、顎、口について総合的に見守り、健康管理することがメインテナンスの目的です。
1年に3-4回の定期的なメインテナンスを受けましょう。
歯科医院でのフッ素塗布も1年に3-4回ぐらい行うのが効果的です。メインテナンスの際に合わせて塗るといいでしょう。